頸椎カラー、鎮痛薬、神経再生薬、リハビリなど後縦靭帯骨化症の保存療法について紹介しています。
後縦靭帯骨化症の保存療法の1つである、鎮痛薬、神経再生薬などの薬物療法についてご紹介します。
後縦靭帯骨化症で骨化した靭帯が神経を圧迫することにより、痺れや痛みが発生します。
この痛みを緩和させるのに鎮痛薬で対処します。鎮痛薬には、主にロキソニンやボルタレンといった非ステロイド消炎鎮痛薬が用いられます。どちらの薬も、胃潰瘍を合併することがあるため、胃薬や抗潰瘍薬と一緒に処方されることが多いでしょう。
薬を服用する治療のため、当然ながら副作用の心配はあります。
ロキソニンやボルタレンの副作用は、胃部不快感、浮腫、発疹、ショック症状などがあげられます。これら症状が出た場合には、すぐに医師に相談します。
また、阻害された神経の修復を促進させるために、神経再生薬を服用することもあります。
主にメチコバール ビタミンB12が使われ、4週間の服用で64パーセントの改善率があるといわれます。副作用は、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、発疹などがあげられます。
後縦靭帯骨化症は、首を後ろにそらしたり、仕事のしすぎ、転倒や転落が原因で脊髄症状が出現したり悪化する可能性が高い病気です。
そのため、頸部が不必要な動きをしないように、頸椎カラーを使って固定します。固定することで痛みやしびれといった自覚症状を軽減することができるのです。
ただし、頸椎カラーは、長期間使用を続けると、頸部の筋肉が萎縮してしまい、かえって頸部痛が出てしまうこともあります。必ず、医師の指導のもと治療を行いましょう。
リハビリを繰り返すことで自覚症状を軽減させる方法もあります。
基本的には温めたり、リハビリすることで症状が改善するといわれます。こういったリハビリは通院して行う場合と入院して持続的に治療を行う場合があり、それぞれ医師と相談の上、治療方法が決定します。
リハビリの一つの方法として、牽引療法というのがあります。その名の通り牽引(引っ張る)ことで椎間の間隔を広げ、神経の圧迫を軽減させます。神経の圧迫を和らげる効果があるので、後縦靭帯骨化症のリハビリとして最適です。牽引療法は、そのほか椎間板ヘルニアの治療としても選ばれています。ただし、炎症ある箇所や障害がある場合は、使用を控えるようにしましょう。
引用元:株式会社日本メディックス
https://www.nihonmedix.co.jp/support/03rehabilitation_about_item_07.html
もうひとつ、よく実施されているリハビリとして温熱療法があります。温熱療法とは、全身を温めたり、痛みのある部分をダイレクトに温め、痛みを和らげる治療です。温熱療法には様々な施術方法があります。
温められた物質で患部を覆って治療します。じんわりと温まるので患者も気持ちが良いです。
超音波エネルギーによって損傷を受けた組織を効果的に治療します。照射する際に生じる熱で、温熱作用が発生します。
マイクロ波が組織に浸透する際に分子が振動します。その際の摩擦熱で、温熱効果を発生させます。
温熱療法は自宅でも気軽に行えます。ここでは2つの方法を紹介するので参考にしてください。
タオルを水に浸して軽く絞ります。加熱可能なラップかビニールに入れて、電子レンジ500Wで約1分温めます。レンジから出した直後は、タオルが高温になっているので火傷をする可能性があります。必ず別のタオルで二重にして包んでから使用してください。
シリカゲルやメディビーズ等の素材を、木綿などの袋に入れた温熱療法専門の用品です。レンジで温めるだけで熱を発生させ、保性の温熱療法を体感することができます。長時間患部に当て続けると、低温火傷の恐れがあるので注意が必要です。
引用元:株式会社全医療器
https://www.zeniryoki.co.jp/?p=16175
レンジでチンするだけで簡単に使えます。中身には特殊なセラミックビーズを使用しており、カビが発生しない優れものです。空気中の水分を吸水して蓄積し、レンジの高周波によって発熱し蒸気を発生させます。また繰り返し何度でも使用できるので、お財布にも優しい商品です。痛みが気になるときに、自分の好きなタイミングで実施できるのが温熱療法の良いところです。
このように、保存療法で自覚症状を軽減させることで日常生活をより快適にすごすことができるようになります。
しかし、明らかな脊髄症状がある場合や、病気が進行し仕事や日常生活に支障をきたした場合には、手術療法を選択する必要があることも覚えておきましょう。
病気の進行が人によって異なる後縦靱帯骨化症は、まずは治療法として保存療法を選択することが一般的です。初期段階だった方、まだ自覚症状がないという方は保存療法で様子を見るのでも十分でしょう。 保存療法の中でも「投薬治療」「頚椎カラー」「リハビリ」それぞれの療法がオススメのケースを整理してみましょう。
後縦靱帯骨化症から、しびれや痛みを感じる方は、医師の診断のもと鎮痛薬などで投薬治療をするのがオススメです。薬物療法に用いられる薬には次のような薬があります。
痛みを緩和する鎮痛剤は、副作用があることもありますので、胃腸障害や貧血などが見られる方はきちんと医師にその旨を伝えましょう。 頚椎後縦靱帯骨化症によって不安を感じる方は、抗うつ剤などを処方しても耐えることもありますので、相談してみるといいですよ。
頚椎カラーは、筋力や運動能力が低下する可能性もあるので、ある程度体力の低下を抑えるための全身運動ができる方にオススメの方法です。 特定の姿勢をとることが多い方や、どうしても首が動いてしまい痛みやコリを感じる方にもオススメといえるでしょう。
頚椎後縦靱帯骨化症の影響で低下しがちな筋力を維持する必要がある方、関節の動きを保ちたい方にとってリハビリテーションはオススメです。 ただし、間違った方法で行ってしまうと悪化してしまうこともあるので、定期的にリハビリ指導をうけられる方でないと難しいかもしれません。
頚椎後縦靱帯骨化症の患者向けガイドラインでは、鍼や灸などの民間療法は、脊髄症状をともなわない首の痛みには効果がある“かもしれません”という記載にとどまっています。
無理にマッサージなどで首を過度に反らせてしまうと、脊髄を痛めてしまう可能性があるので、首を無理に動かすような民間療法は避けた方がベター。 脊髄症状が出ていない方は、リラックスや、コリをほぐすことなどを目的に民間療法を活用してみてもいいでしょう。
出典:『患者さんのための頚椎後縦靱帯骨化症ガイドブック』
http://minds4.jcqhc.or.jp/minds/OPLL/05_ch5_OPLL_GB.pdf
1から分かる後縦靱帯骨化症の治療ガイド