こちらのカテゴリでは、後縦靭帯骨化症という病気がどんなものかを解説しています。
日本人に発症例が多く、3%に発生するともいわれている後縦靭帯骨化症。
「かかる原因」のページでは、後縦靭帯骨化症が発症する原因について詳しく調べてまとめています。
糖尿病や遺伝的要素が関連しているなどの報告もあるようですが、その原因や合併して起こる注意が必要な病気や症状についてもレポートしていますので、参考にしてください。
次に、気にかかるとといえば後縦靭帯骨化症の症状。
後縦靭帯骨化症という病気にかかると、一体どのような症状や予兆が起こるのでしょう。
「症状と予兆」のページでは、手指の動きなどの運動障害や知覚障害など、さまざまな症状や予兆について詳しくご紹介しています。
珍しいケースでは、ひどい肩こりで病院に行ったところ発見されたケースもあるようです。ぜひ後縦靭帯骨化症について気にかかることがある方は、「症状と予兆」のページをご一読いただければなと思います。
もちろん、病院での診断を積極的に受けられることもおすすめします。
後縦靭帯骨化症は、原因不明の難病指定とされていて、難病医療費助成が受けられる可能性がある病気です。
「難病医療費助成とは」のページでは、頚椎後縦靭帯骨化症の患者の方が受けられる医療費助成制度についてご紹介しています。
四肢・躯幹のしびれ、痛み、脊柱の可動域制限などの認定基準についても詳しくまとめているので、症状が重い方は、難病医療費助成を受けられることをおすすめします。
医師の診断が必要となりますので、まずは「難病医療費助成とは」のページをクリックして参考にしてください。
後縦靭帯骨化症は、厚生労働省によって、難病に指定されています。それは、この病気にかかる、明らかな原因がない、特定されていないことを表します。
国では、この病気の原因を探ろうとしています。そのために、この病気にかかった人の情報を集め、統計的に何が最も原因につながるかを、明らかにしようとしています。
その中で、一つ出てきているものとしては遺伝です。家族内での発症が多いことから原因の一つとして有力視されているのです。実際に、双子や兄弟でこの病気にかかった人の統計をとると、兄弟のどちらか一方が後縦靭帯骨化症になると、もう一方も同じ病気になる確率が30%もあるようです。発症の原因として、決定づけられた段階とは言い難いですが、深い関係性はあるようです[1]。
その他に、原因として考えられ、公表されているものを、挙げてみましょう。糖尿病や肥満といった生活習慣病的要素や、性ホルモンの異常、カルシウムやビタミンDの代謝障害などがあります。
この他にも、老化現象や全身的に靭帯が骨化してしまう要素、その部分に大きなストレスがかかることなども、原因として考えられています[1]。
後縦靭帯骨化症になった場合、最初に骨や関節付近に症状が現れることは、少ないようです。どちらかというと、その病気になった関節の近くにある筋肉が硬くなったり、しびれたような感じが起こります。
首の骨でこの病気が起こり、首を通る脊髄から出る細い神経が圧迫されるようになると、主に腕にしびれや痛みの症状が出るようになります。最近、やけに肩がこる、腕や手、指先がしびれるといった不快な症状が気になりだしたら、それがこの病気の予兆とも言えるでしょう。
また、後縦靭帯が骨化するだけではなく厚みが増してくると、その他にも症状が出てきます。例えば、首の骨でこの現象が起こると、立った状態で天井を見上げるように首を反らすと、腕や脚がしびれたり力が入りにくくなることもあります。
酷くなってくると、腕や脚以外にも症状が出るようになります。尿を貯め、排泄する膀胱は、脊髄から出る神経がその機能をコントロールしています。そのため、尿が膀胱に溜まった状態でトイレに行った時に、全部を排泄できないといった症状が出ることもあります[1]。
国では、原因が特定されておらず、明確な治療方法が確立されていない病気に対して、診察や治療にかかった費用の一部を補助する制度を設けています。この制度の対象になっている病気は非常に数が多く、後縦靭帯骨化症もその一つに含まれています[2]。
この病気にかかった方や、その家族を含めて世帯収入や、収めている住民税の金額によって自己負担の金額設定は異なります。「所得Ⅰ・低所得Ⅱ・一般所得Ⅰ・一般所得Ⅱ・ 上位所得」の5段階に分けられており、自己負担額は2,500円から30,000円まで設定されています[2]。
加えて、平成30年度からは難病医療費助成制度の一部見直しがはかられる予定です。これまで、この後縦靭帯骨化症の検査や治療を目的とした入院にかかる費用のうち、食事代も助成対象になっていました。しかし、これについては今後、全て自己負担になる予定です。
後縦靭帯骨化症は、その発症原因などが分かっていない部分が多いため、完全な予防法についての情報は現段階ではないといわれています。
しかし、生活習慣を意識することは後縦靭帯骨化症の予防につながるといわれています。 例えば肥満。後縦靭帯骨化症を発症している人に肥満の人が多いことが分かっているほか、糖尿病の人も後縦靭帯骨化症を発症している割合が高いそうです。
このため、糖尿病につながる恐れのある肥満を予防することは、後縦靭帯骨化症にも効果があるとされています。
また、質の良い睡眠をしっかりとっている人は後縦靭帯骨化症の発症率が低いというデータがあるそうです。
睡眠不足が慢性化している人は、できるだけしっかり睡眠をとることを心がけたいですね。
また、後縦靭帯骨化症は発症自体を予防することも大切ですが、症状が悪化しないようにすることも大切だといわれています。
特定疾患治療研究対象疾患とは、特定疾患治療研究事業対象疾患のことをいいます。 これは、難病のうち特定の疾患について、医療の確立と普及を図り、患者の医療負担の軽減を目的とする事業でした。
特定疾患治療研究対象疾患で治療費が公費負担となることで、難病の人は費用を心配することなく安心して治療を受けることができていたのですが、その反面難病に対する医療費助成費用が増大したことを受けて、平成27年1月から「難病の患者に対する医療などに関する法律(難病法)が施行されました。
これを受けて、これまでの特定疾患治療研究対象疾患者に対する医療費助成の制度はかなり変わり、指定難病でないと医療費助成の対象にならなくなってしまったのですが、後縦靭帯骨化症は指定難病として認められているため、医療費助成の対象となります。
ただし、後縦靭帯骨化症の症状が一定の程度以上であることが医療費助成を受ける条件とされているため、医療費助成希望している人は、医師にその旨を伝えて重症度の分類をしてもらうことが必要です。
後縦靭帯骨化症は発症の原因や有効な治療法などについて確立していない部分が多いため、発症後に症状が悪化すると、後遺症が残ってしまう可能性が考えられます。
後縦靭帯骨化症の治療においては、主に「保存療法」と「手術療法」の2つに分けられ、手術療法では後縦靭帯骨化症を治すというよりも、後縦靭帯骨化症によって起こっている辛い症状を改善するための手術を行います。
この手術を行った際に、後遺症が残ってしまう可能性があり、手や指がしびれたり、脊髄麻痺が悪化する、喉が晴れる、左右どちらかの手が上がらなくなる麻痺が生じるなどの症状が代表的です。
後縦靭帯骨化症の手術による後遺症は、若い人よりも高齢者に多く見られるといわれています。
この理由は、高齢の方は高血圧などの合併症を持っている可能性があるからだそうです。 後遺症が残ってしあった場合には、日常生活を問題なく送るためのリハビリ治療を行うことになります。
根本的な改善が難しいので、地道にリハビリを行ってゆくしかありません。
後縦靭帯骨化症は、頸髄が圧迫してしまうことにより、「しびれ」の症状が表れることがあります。
このしびれは肩こりだと勘違いしてしまうくらいの軽症の人もいるようですが、前縦靭帯骨化症などを併発した場合には、強いしびれを覚えることもあります。
しびれが出やすい場所は主にエア氏で、症状が出始めたころは強いものではありません。 しかし症状が進行するごとにしびれの範囲が広がり、腕や足の痛みも感じるようになります。
しびれの改善には薬物療法や理学療法で対処するのが一般的です。
【参考URL】
参考[1] :『後縦靱帯骨化症(OPLL)(指定難病69)』 難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/98
参考[2] :『難病の患者に対する医療等に関する法律の概要』 厚生労働省 健康局 難病対策課
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000128881.pdf
1から分かる後縦靱帯骨化症の治療ガイド