後縦靱帯骨化症を知るためのハンドブック
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難病医療費助成とは

このページでは、難病指定されている頸椎後縦靭帯骨化症(OPLL)の認定基準について解説します。

後縦靭帯骨化症(OPLL)は難病指定されています

頸椎後縦靭帯骨化症(OPLL)は、厚生労働省が難病(特定疾患)に指定している病気です。

そして、同省が発足させた「脊柱靭帯骨化症に関する研究班」によって病態の解明や治療法についての研究が続いています。

特定疾患とは、症例が少なく原因不明や治療方法が確立していない病気に対して設定されているもので、厚生労働省は生活する上で長期わたって支障をきたす疾患に対して研究対象とし、医療施設を整備するといった対策を行っています。

また、この難病(特定疾患)に指定されていることで、特定疾患医療受給者証が発行され、医療費の患者自己負担分の一部または全部について助成を受けることができます。

よって、頸椎後縦靭帯骨化症の治療に対しても助成を受けることができます。ただし、これを受けるためには、厚生労働省が定めている認定基準をクリアする必要があります。

医師の診断をあおぎましょう

頸椎後縦靭帯骨化症は、手術で外科的に治療する方法を採用することもあります。

そのため、公費での助成は大変ありがたいものです。ただし、対象となるには認定基準をクリアする必要があります。

そもそも難病指定された病気には、それぞれ認定基準が設けられており、主治医の診断に基づいて各都道府県に申請するのです。

そこで認定されると「特定疾患医療受給者証」が交付され、対象者となります。制度の概要や詳細、手続きの詳しい方法は、各保健所が担っています。申請を予定している人は、各保健所に相談してみましょう。

難病医療費助成の手続きの仕方

医療機関で後縦靭帯骨化症などの難病と診断された場合、必要な申請手続きを行うことで助成金を受け取れます。基本的に、申請先は保健所です。申請後は、保健所経由で都道府県が「指定難病か否か、症状の程度が一定程度以上であるか(日常あるいは社会生活に支障があるか)」の審査を行い、対象となる場合に助成金を支給します。

具体的な申請手続きの方法は住んでいる都道府県によって異なるため、事前に都道府県のホームページなどで確認しましょう。

ちなみに、東京都に住んでいる場合は「難病医療費助成指定医療機関指定申請書」に必要事項を記入し、東京都福祉保健局に提出しなければなりません。

難病医療費助成を受けた際の自己負担の割合について

もし、申請が通り精度を利用できた場合、自分が負担する分の料金(自己負担限度額)は全体の2割ほどになります。例えば、10万円ほどかかる治療を受けた場合、自己負担額は2万円ほどになるのです。

ただし、この自己負担限度額は世帯の所得に応じて定められているため、上位所得者(年収810万円以上、市町村民税25.1万円以上)と低所得者(年収80万円程度、市町村民税非課税)では差があります。低所得者の自己負担上限額は2,500円ですが、上位所得者では30,000円になります。

その他の世帯の詳しい額に関しては、公益財団法人難病情報センターのホームページに記載されているので、気になる場合は確認してみましょう。

後縦靭帯骨化症の助成対象になる基準

ここでは、頸椎後縦靭帯骨化症の認定基準の一部をご紹介しますので、ご自身の症状と比較してみてください。

まず、四肢をはじめ体中に痛みやしびれ、感覚の異常や運動障害があり、さらに、膀胱障害、脊柱の可動域制限、四肢の腱反射異常及び病的反射があるかどうかを見ます。

そして、画像診断では、レントゲンやCTで骨化が見られること、MRIで脊髄圧迫が見られることが基準です。これらの診断は、当然のことながら医師に行ってもらうことが必要です。

東京の難病医療費助成制度

後縦靭帯骨化症では、脊髄が通る脊柱管内にある靭帯が骨組織の様になった上に厚みを増していくため、脊髄神経や脊髄から出る末梢神経の根元、神経根が圧迫されることにより、様々な症状を呈します。

この疾患は、特に脊柱の頸にあたる部分頚椎に起こりやすいとされています。 神経根が圧迫されると、脊柱のどの高さで圧迫が起こるかによって程度は異なりますが、主に腕や手のしびれや筋力の低下を引き起こします。 そのため、手で重たい荷物を持ったり、指先への筋力伝達が障害されると細かい作業ができなくなったりします。

また、脊髄そのものが圧迫を受けるとそれよりも末梢、つまり体幹や脚の筋力が低下したり、しびれなどの症状が持続します。

しびれの症状が持続すると、不快感から精神・心理的にストレスを感じたり、ゆっくり眠れないなどの症状が引き起こされます。

後縦靭帯骨化症の治療にかかる費用

後縦靭帯骨化症と診断されると、まずは保存療法が選択されます。 それ以前に、診断を受けるためにレントゲン撮影やCTもしくはMRI、時に造影剤を使用した脊髄造影が行われます。 検査の方法によっては、自己負担でも2万円を超える額が請求されることがあります。

診断された後には、痛みなどの症状があれば投薬の他にリハビリテーションが行われます。 リハビリテーションでは、背骨間の隙間を広げ圧迫を軽減するための頚椎牽引や、筋力の低下を抑えるための筋力トレーニング、あるいは筋肉が硬くなっている場合にはマッサージなどが行われます。

また、この疾患の場合は特に頭を上に向けるような動きで脊柱管が狭くなり、脊髄を圧迫して症状を増悪させるため、頚椎の動きを抑える頚椎カラーが処方されるケースが少なくありません。

リハビリテーションでは、頚椎牽引実施の有無や訓練時間によって負担金は変化しますが、平均1回あたり自己負担で500~2,000円程度必要となり、あとはリハビリテーションの実施頻度によって負担額は上下します。

頚椎カラーを処方されると、医療保険で7割程度は後日返金されますが、それでも2,000円程度の自己負担が必要となります。

保存療法でも症状の軽減が難しく、また脊髄への圧迫が深刻になってくると手術療法がおこなわれます。 手術となると費用は高額になりますので、高額医療費助成制度が適用されますが、それでも自己負担額は10万円程度は必要となります。

そして、手術を受けた後もリハビリテーションや投薬は継続されることが多いため、ある程度の費用は必要となります。

東京の難病医療費助成制度について

東京都では、国(厚生労働省)が定める指定難病に罹患した場合、その費用を助成する制度があります。 この制度の利用に必要な条件は、同一月に受けた医療にかかる費用と一部の介護サービスにかかる費用が33,330円を超える月が発症(診断日)から申請までの12か月の間で3ヶ月以上あることです。

ですから、助成制度の利用を申請する場合にはこの疾患の診断を受けてから1年以上経過していることが必要となります。

そして、もし助成対象と認められるとその日から1年前までに遡って算定され、その間の自己負担額が返金されることになります。 医療保険での自己負担割合がどの程度かによって、この助成を利用しての自己負担額は変わってきますが、医療保険が3割負担の人の場合には、1ヶ月の診療にかかる費用の自己負担額は、10,000円になります。

後縦靭帯骨化症は、一度発症すると自然治癒的に元に戻る疾患ではありません。 つまり、発症後はその後一生付き合う疾患であり、手術を受けたとしても何らかの症状は残るケースが多いため、投薬やリハビリテーションも継続されます。 それによって、毎月の医療費負担は発生するので、助成制度により自己負担額が軽減されるのは、患者さんにとっては非常にありがたい制度と言えます。

難病医療費助成金受給の流れ

まずは、難病医療費助成金受給の申請を行います。申請に必要な書類は以下です。

  • 特定医療費の支給認定申請書
  • 診断書(臨床調査個人票)
  • 住民票(住基ネットがあれば省略できます)
  • 世帯の所得を確認できる書類(市町村民税課税証明書など)
  • 保険証のコピー
  • 人工呼吸器等装着社であることを証明する書類(必要に応じて)
  • 世帯内に申請者以外に特定医療費、または小児慢性特定疾病医療費の受給者がいることを証明する書類(必要に応じて)
  • 医療費について確認できる書類
  • 同意書

参考:難病情報センター:指定難病患者への医療費助成制度のご案内
http://www.nanbyou.or.jp/entry/5460

書類を用意して申し込む窓口については、都道府県によって違いがありますので、最寄りの都道府県窓口に確認してください。申し込みが済んだら、都道府県による審査が行われます。

  • 助成認定の基準に該当する病状であるか
  • 該当しない場合は高額な医療の継続が必要であるか

これらを判断して、支給認定について審査します。難病医療費助成金受給の認定が下りたら、都道府県から「医療受給者証」の交付が行われます。交付については3ヶ月ほど時間がかかることが多いのですが、その間に指定医療機関を受診した際の医療費は、払い戻しの請求をすることが可能です。

不認定となった場合には、都道府県からその旨の通知が送られてきます。

東京都の場合

例えば東京都の場合は、助成金受給制度の要件を次のように定めています。

  • 東京都内に住んでいる、住所持っている人
  • 後縦靭帯骨化症を含む指定難病を患っている人
  • 病状が厚生労働大臣の定めるレベルであること
  • 病状が認定されるレベルではないが、同じ月に受けた指定難病における医療費、または介護サービス費などの総額が33,330円を超えた月が、申請を行った月の1年前までに3ヶ月以上ある人
  • 医療保険又は介護保険に加入している人

国と東京都の違いは、「医療保険または介護保険に加入している人」が加えられているという点です。

東京都では、住んでいる区市町村で申請の受付を行っており、申請書類は福祉保健局ホームページか、区市町村窓口で入手可能です。必要な書類は国で定められている書類のほかに、「個人番号に関わる調書が必要となります。

これは、マイナンバーを記載するために必要な書類で、「指定難病用」と「東京都対象難病用」の2つが必要です。申請者本人が18歳未満の場合は、保護者のマイナンバーを記載します。

そのほか、外国籍の人や申請者が小児の場合など、さまざまなケースにおいてさらに書類が必要となりますので、東京都の情報を確認した上で書類を揃えましょう。

「軽症かつ高額」の制度とは

難病医療費助成では、先にご紹介した条件を満たしている人が認定を受けることができますが、治療によって症状が重症化に至らなかった場合は医療費助成の基準を満たさないこともあります。

しかし、疾病の治療に支払った医療費や、一部の介護サービス費が一定期間に一定額以上発生した場合は、医療費助成の認定を行い、申請者の医療費における負担軽減を図ってくれる制度が「軽症かつ高額」の制度です。

助成金制度の申請を行ったけれど認定がおりず、しかし「軽症かつ高額」の対象になると東京都が判断した場合は、制度の案内と申請書類を送ってくれます。助成を受けられると判断された上で申請が送られるので、さらに審査が入るということはありません。

医療費の助成を必要とする人は、申請書に記載をし、必要な書類を揃えた上で東京都に送付します。該当者や申請の詳細については、東京都の情報を確認してください。

参考:東京都福祉保健局:難病医療費助成制度のご案内(対象疾病、助成内容、指定医療機関一覧、指定医一覧等)
http://www.nanbyou.or.jp/entry/5460

後縦靭帯骨化症の治療法

後縦靭帯骨化症の治療は、大きく分けて「保存療法」と「手術療法」の2種類があります。

保存療法は骨や神経を手術などで直接治療することはせずに、他の治療法で状態を温存しながら症状の緩和を目的とする治療法です。

手術療法は、手術で痛みの原因となっている部分を治療することで、辛い症状を緩和します。

手術療法をしても、後縦靭帯骨化症が根本から治すことはできないので、症状があまりにひどくなっているわけでなければ、保存療法で治療を行うことも多いです。

保存療法

保存療法には、「薬物療法」と「運動療法」、「物理療法」の3つの治療法があります。

ここでそれぞれの治療法について解説していきます。

薬物療法

薬物療法では、痛みやこりなどの辛い症状を緩和することを目的としています。

処方される薬は実にさまざまですが、例えば「非ステロイド系消炎鎮痛剤」は、首や肩の痛みやこり、手足の痛みなどを緩和するために用います。

ステロイド剤には飲み薬と注射がありますが、これらを用いることで後縦靭帯骨化症特有のむくみを抑え、神経が傷つくことを防ぐことができます。

後縦靭帯骨化症によって靭帯が骨化することにより脊椎の動きが悪くなった場合には、筋弛緩剤や抗うつ剤を処方し、筋肉の緊張を和らげます。

そのほか、血流をよくするためのビタミンB12 をはじめとする各種ビタミン剤や、骨粗鬆症を防ぐ効果があるとされる「ビスフォスフォネート製剤」を用いることもあります。

運動療法

運動療法は、手術後の後遺症などによる麻痺や、動きにくくなった筋肉を動かすために行われるリハビリ治療です。

筋肉量を増やしたり、血流をよくすることを目的としています。

正しい方法で行わないと症状が悪化してしまうことがあるため、医師や理学療法士の指導のもとで行うことが重要です。

物理療法

特殊な装置を使用して首を固定したり、引っ張ることで脊椎を安定させて症状の悪化を防ぐ治療法です。

また、筋肉を温める「温熱療法」を行うこともあり、これは固くなった筋肉を柔らかくしたり、血流をよくする効果が期待できます。

手術療法

症状が非常にひどい場合を除いては、先に解説した保存療法で対処することが多いですが、保存的治療で十分な効果が得られなかった場合や、さらに症状が進行してしまった場合には、手術を行って症状を改善します。

手術によって後縦靭帯骨化症が完全に治せるということではありません。

そのほか、手足がしびれる、麻痺によって手指を使った細かい動きができないといった場合、足がつまずきやすく転びやすいなどの症状がある場合にも、手術を行います。後縦靭帯骨化症の手術では、首の前を切開する「前方除圧固定術」と、首の後ろを切開する「椎弓切除術」、「脊柱管拡大術」といった方法があります。

どの方法であっても、骨化した靭帯を削ったり、脊椎の骨を削ることで脊柱管を広げ、神経の圧迫を改善することが目的です。

どの手術にもメリットとデメリットがありますので、どの方法を選択するかは、そのときの症状や脊椎や靭帯の状態など、いろいろな要素を考慮した上で医師が判断し、決定します。

「前方除圧固定術」、「椎弓切除術」、「脊柱管拡大術」と、どの方法を採用した場合でも、症状は4割から6割程度の改善が見込めるといわれています。

ただし、手術の合併症が起こる可能性があり、手足の麻痺が悪化したり、脊髄を包んでいる膜が破れ、中の髄液が漏れてしまう髄液漏(ずいえきろう)という症状や、血腫ができてしまう、傷の治りが悪いなどといった症状がまれに起こる場合があります。

合併症が発生する可能性は数%から10%ほどだといわれています。

⇒後縦靭帯骨化症の詳しい治療法についてはこちらからご覧いただけます。

 
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