後縦靱帯骨化症を知るためのハンドブック

かかる原因

こちらのページでは、頸椎後縦靭帯骨化症(OPLL)の原因やかかりやすい体質について解説しています。

後縦靭帯骨化症(OPLL)にかかる原因とは

体の背面を縦に走る靭帯—後縦靭帯が骨に変化する病気である頸椎後縦靭帯骨化症。OPLLとも呼ばれています。

日本人の約3パーセントに発症するとされており、男女比では2:1で男性に多い傾向があるといわれます。

その原因はわかっていませんが、糖尿病や肥満体型の人におこりやすい傾向があるとされています。

さらに、ある家系に多発することから、遺伝的要素も関連しているといわれ、兄弟に頸椎後縦靭帯骨化症の患者がいると30パーセントの割合で症状が現れます。現在、研究が進んでいます。

東洋人、なかでも日本人に多くみられる病気で、年齢とともに発生頻度が増え、60歳以上では、実に約1割の人に症状が出るという報告もあがっています。決して縁遠い病気ではなく、わたしたち日本人は、誰でもがなりえる病気ともいえるのです。

軽い症状にとどまる人も多いため、認知度は低い病気ですが、悪化すると歩行障害や運動障害が現れることもあり、適切な治療や経過観察が必要です。

厚生労働省の特定疾患に指定されており、症状の重い人は治療費の公的補助が受けられます。

気になる症状がある人は、ぜひとも病院で検査を行い、軽症のうちに治療を開始しましょう。

よくある質問~後縦靭帯骨化症の原因について~

ここでは、後縦靭帯骨化症を引き起こす原因についてよくある質問を紹介します。

質問1.遺伝も関係しているということですが、現在どこまで解明されていますか?

後縦靭帯骨化症は、遺伝が原因で必ずしも発病するとは言えません。

遺伝だけでなく生活習慣など他の要素も関係していることから、遺伝だけで発病・発症するとは言えません。

質問2.肥満や糖尿病でない普通体型の人は安心ですか?

後縦靭帯骨化症は、肥満や糖尿病の方がなりやすいのではなく、後縦靭帯骨化症の方が、肥満や糖尿病になりやすいということがわかっています。

質問3.後縦靭帯骨化症とカルシウムの関係性は?

カルシウムの不足・過剰摂取が後縦靭帯骨化症を引き起こすかどうかは、まだ明らかになっていません。

後縦靭帯骨化症を発症している人は、健康な人に比べて骨量が多いことがわかっています。

このことから、カルシウムの吸収・分泌の異常(ビタミンDの影響など)が原因で引き起こされるのではないかと考えられています。しかし、こちらもまだ明らかにはなっていません。

質問4.後縦靭帯骨化症と糖尿病を併発している人はどのくらい多いのですか?

後縦靭帯骨化症を発病した患者さん467名を対象に行った調査では、全体の約2割に糖尿病の既往歴があり、約4割が糖尿病予備軍でした。

このことから、後縦靭帯骨化症患者は糖尿病を併発する可能性が高いです。

質問5.首への負担は後縦靭帯骨化症の原因になりますか?

首を前に出した姿勢を長時間続けることで後縦靭帯が引っ張られ、後縦靭帯骨化症を引き起こすのではないかと言われています。

しかし、今のところ首への負担が直接的に発病原因になるかどうかは、まだはっきりとはわかっていません。

質問6.後縦靭帯骨化症では、必ず脊髄症も生じるのですか?

後縦靭帯骨化症患者の約3割~5割が、脊髄症も発症していることがわかっています。つまり、脊髄症を併発しない方もいるということです。

脊髄症の発症には、「骨化した靭帯による脊髄の圧迫」と「頸椎の運動による脊髄への刺激」が複雑に関係しています。

そのため、「骨化した靭帯がどのくらい脊柱管内を占めれば、脊髄症を発症するか」の報告も様々です。

しかしながら、脊柱管内のおよそ5割を越えたあたりから脊髄症の発症リスクが高くなることは知られています。

質問7. 筋緊張性ジストロフィーの合併症でなるって本当ですか?

「頚椎後縦靱帯骨化症診療ガイドライン」の2011年版では、筋緊張性ジストロフィーによって後縦靱帯骨化症が起こりやすいということについてその関連性を肯定するような内容がありますが、その成因は明らかにされていないとしています。

筋緊張性ジストロフィーとOPLLの合併例報告(OJ01301, EV level 8)や兄弟合併例報告(OJ01312, EV level 8)などにより,その関連性が疑われた.筋緊張性ジストロフィー患者の脊柱単純X線撮影による調査がなされ,27%(OJ00500, EV level 7),33%(OJ00862, EV level 7),24%(OJ01151, EV level 7)にOPLLが発見されており,両疾患には関連性があると考えられる.その関連性について両疾患合併同胞例のカルシウム代謝例について検討した報告では,Ellsworth-Howard試験で尿中cyclic AMPは著明に増加したが,リン酸排泄量の増加は不十分であったことより,筋緊張性ジストロフィーではPTHの腎での反応性低下によるカルシウム代謝異常がOPLL発生に関与するという報告がある(OJ01098, EV level 8).しかしながら,両疾患に共通する病因の詳細については明らかでない.

出典:『頚椎後縦靱帯骨化症診療ガイドライン 2011』筋緊張性ジストロフィーがあると,頚椎OPLLが生じやすいか
http://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0033/G0000351/0040

質問8. 生活習慣とどのような関係がありますか?

細かい生活習慣においては定かではありませんが、適度な睡眠をきちんと取っている人は後縦靱帯骨化症の発症率が低いといわれているようです。 ただし、これらについてもまだ明らかになっていない点が多いため、今後の調査が必要だとされています。

OPLL患者では豆類などの植物摂取が多く、靱帯骨化と関係しているとする報告やビタミンAあるいはその結合蛋白は靱帯骨化に影響を及ぼしているという報告があるが、まだこれらが確実に骨化を促進すると断定されるには至っていない。また生活習慣(運動,喫煙,飲酒,睡眠)との関係では適度な睡眠がOPLL発症を低下させ得ることが報告されているが、これも今後さらなる調査が必要である。

出典:『難病情報センター』後縦靱帯骨化症(OPLL)(指定難病69)
http://www.nanbyou.or.jp/entry/257

そのほか、糖尿病や肥満の人に後縦靱帯骨化症が発症しやすいといわれているようですので、生活習慣病を予防することで、後縦靱帯骨化症の予防につながる可能性は高いです。 肥満を予防するには、食べ過ぎや飲み過ぎを避けるのはもちろんですが、適度に体を動かすこともとても大切です。

運動をすることが直接後縦靱帯骨化症の発症を予防することはまだ証明されていないのですが、糖尿病の人で後縦靱帯骨化症を発症することが多い場合、適度な運動は糖尿病の予防につながるので、必然的に後縦靱帯骨化症の発症を予防する効果があると考えることができます。

ちなみに肥満においても、肥満が直接後縦靱帯骨化症に関係するのか、肥満から糖尿病を引き起こすことで後縦靱帯骨化症につながるかという点はまだはっきりしていないそうです。 しかし、肥満は糖尿病や後縦靱帯骨化症以外にも、動脈硬化や心筋梗塞などの病気を引き起こす原因となり得ますので、予防することで健康にさまざまなよい効果を得ることができます。

気になる症状は医師に相談

このように、後縦靭帯骨化症の原因は未だきちんと特定されていません。重症化する人いればしない人もいるので、症状に関して気になることがあれば早めに医師に相談するようにしましょう。

症状の重さは人によって異なります

頸椎後縦靭帯骨化症の症状は50歳台以降から発現することが多く、頚髄が圧迫されることによって頸部や背部の痛みやしびれ、筋力の低下が現れます。とはいえ、症状は必ずしも進行性のものではありません。病気にかかった3/4の人はその後進行することはなく、大きな変化は現れません。

また、頸椎後縦靭帯骨化症は、X線、CT、MRIなどで診断することができますが、骨化が認められても症状が全く現れない人も少なくありません。

頸椎後縦靭帯骨化症を疑って受診のではなく肩こりがひどいと受診して判明するケースも多くあるくらいです。強い症状が出るのは一部の人だと考えられています。

ほかの脊柱靭帯骨化症と併発すると危険です

頸椎後縦靭帯骨化症は、黄色靭帯骨化症や前縦靭帯骨化症を合併しやすいのが特徴です。

前縦靭帯骨化症は、その名の通り、脊柱の前方を縦に走る靭帯が骨化する症状で、嚥下困難や声がかれるといった症状が現れます。

黄色靭帯骨化症は、脊柱管の後方にある椎弓の間を結ぶ靭帯が骨化して神経の圧迫症状が出る病気です。

頸椎後縦靭帯骨化症の人の約13パーセントに現れるという報告もあり、これらは合併しやすいといえます。

下肢のこわばりやしびれ、腰部痛や背部痛などが出現し、重症になると歩行困難をきたします。

頸椎後縦靭帯骨化症と同様にまったく症状が現れない人も多くいますが、軽い四肢麻痺になり転倒しやすくなるなど日常生活の中で注意が必要です。

後縦靭帯骨化症の原因は?

後縦靭帯骨化症という疾患は、一般の方ではあまり耳にしたことのないものかもしれません。 しかし、20年以上前から、厚生労働省が難病に指定している疾患で、一度発症すると以後はその疾患による症状と一生付き合っていかなければいけない、罹患したご本人にとっては非常につらいものです。

では、この疾患はどうして発症するのでしょうか?

後縦靭帯骨化症発症の原因は?

難病と指定されている後縦靭帯骨化症ですが、厚生労働省によると難病とは

  • 根本的な治療は困難であり、慢性的な経過をたどる疾患が「難病」である。
  • 難病のある人自身や家族の、経済的・身体的・精神的負担が大きい。

と定義されています[1]。

つまり、根本的な原因が不明、あるいは未確定であるために根治療が難しく、その症状が重たく長期間、多くの場合は一生続くために、精神的・身体的なストレスを被るだけではなく、症状の緩和や病状の進行を少しでも抑えるために定期的な通院が必要だったり、日常生活上必要な動作が障害されるために、医療的あるいは介護のサービス等が必要な疾患です。

そのため、難病指定することで医療費を助成するとともに、罹患した方々の情報を全国的に集約し、その原因を統計的に明らかにしていこうという疾患が対象となっています。

このことからもわかるように、後縦靭帯骨化症は、明確な原因は未だ明らかになっていない疾患ということになります。

後縦靭帯骨化症は、難病情報センターによると、単一の原因で生じる疾患ではないと述べられています。 関与が疑われているものとしては遺伝や性ホルモンの異常、カルシウムやビタミンDの代謝異常、他に糖尿病や肥満、老化、椎間板脱出などが考えられています。

しかし、家族に後縦靭帯骨化症に罹患した人がいる場合、その子孫でこの疾患に罹患する人が多いことから、遺伝的素因が最も疑われています。 後縦靭帯骨化症に罹患した方の兄弟で、この疾患が認められる確率は30%と言われており、遺伝が最も関係性が高いとは言われていますが、必ずという訳ではなく、他の要因の関与は排除できていない状態なのです[2]。

この疾患は3:1で男性に多く発症する傾向にあり、その性差についても検討されています。

後縦靭帯骨化症発症と枕には関係があるのか?

後縦靭帯骨化症の発症と枕の関係にどうして着目するのか、不思議に思われる方は少なくないことでしょう。

後縦靭帯は、頚椎から腰椎まで脊柱すべてに存在するものですが、後縦靭帯骨化症は特に、頚椎に起こりやすい疾患であることが特徴です。

また、遺伝の関与が強く疑われている他に、頚椎における弯曲の特性に由来する構築学的特徴や、寝ている状態以外では常に頸部には頭の重みがかかるという力学的な特徴が、頚椎で後縦靭帯骨化症が生ずる原因として考えられています[3]。

では、寝ている状態ならば、頭の重みは枕が受け止めるので、頚椎には負担がかからないと思っていらっしゃる方は多いかと思います。 けれど、もし枕が高すぎる、あるいは低すぎる場合はどうでしょうか。

枕が高すぎる場合、頭は上方向へ押し上げられ、自然と顔が天井ではなく自分のお腹を見る位置になります。 人が仰向けに寝た状態では、頚椎は眼鏡橋のようにやや上方向に凸となる弯曲を描くのが正常です。 これは、立っている状態でも同様です。 これが、高すぎる枕のために弯曲が消えてしまうと、頚椎同士が互いを背中方向へと押し出す力が加わり、このストレスが後縦靭帯にかかるという考え方もできます。

また、これとは逆に、枕が低すぎる、あるいは枕をしないで仰向けになったらどうでしょうか? この場合は逆で、頚椎同士が互いをお腹側へと押し出すストレスを掛ける可能性があり、これでは後縦靭帯が常にストレッチされるようなストレスを被るのではないかと思われます。

ただし、就寝時に使用する枕と、後縦靭帯骨化症発症の因果関係は、不明です。 また、頚椎や後縦靭帯にかかる負荷は、就寝時よりも起き上がっている際、つまり重力に抗した姿勢をとっている場合のほうが明かに高いので、寝ているときの姿勢が後縦靭帯骨化症の発症に明確に関与するというのは、考えにくいのです。

後縦靭帯骨化症発症後はどのような枕が良いのか?

後縦靭帯骨化症では、脊髄が通る脊柱管が狭くなることが特徴で、これによって脊髄の圧迫による腕や脚のしびれや痛みが引き起こされます。 そして脊柱管は、とくに後縦靭帯骨化症が起こりやすい頚椎部分では、首を反らすことで脊柱管が狭くなるために、症状が増悪することが知られています。

ですから、寝る姿勢においても、低すぎる枕や、枕を使わないで寝るということは、この疾患による症状を増悪させる原因になりかねません。

そのため、寝る際には、やや顎を引いた状態を保てるような枕の選び方がよいのではないかと思われます。 枕が高く、なおかつ全体的に同じ高さであると、枕への頸から頭の載せ方にもよりますが、急激に頚椎が上に持ち上げられ、頚椎の一部分で首を反らしたときと同じような現象が起こり得ます。 そう考えると、やや低めの枕で、肩から頭の方向にかけて徐々に高くなっていく枕が良いのではないかと考えられます。

交通事故と後縦靭帯骨化症との関係

後縦靭帯骨化症は未だ原因が特定できていない病気ですが、可能性のある原因の一つに背骨に強い力が加わることによる靭帯へのストレスが挙げられます。

車に乗っている人が交通事故に遭った場合には頚椎捻挫、一般にはむち打ちと呼ばれる傷害が発生します。

では、交通事故と後縦靭帯骨化症には、何等かの関係があるのでしょうか。

交通事故が原因による後縦靭帯骨化症

交通事故でむち打ちになる場合で多いのは、乗っていた車が他の車などに衝突した時に、急激に首を反らすような動きとなった場合です。運転中の車が他の車や建物などに衝突すると、人の頭は一度急激に前方向へ傾いた直後に今度は反対の後ろ方向へと動き、前後方向に振り回されたように動きます。

運転席に座っている人の場合は、座席背もたれにヘッドレストがあり、ここで頭の動きがブロックされます。ヘッドレストで頭の動きはストップされると、その反動で肩周辺や首は前方向へ振り回されます。すると、首にある背骨は急激に、それも本来の背骨の動き方とは異なる動き方を強いられます。

この動きによって、首の背骨を構成する7個の骨一つ一つが、前方向へ飛び出すような動きを強いられます。そうすると、首の骨をつなぎ合わせ、その動きを調整している靭帯が急激に伸ばされ靭帯損傷が起こります。

これによって、当然後縦靭帯にも負担はかかりますが、むち打ちによって後縦靭帯骨化症になったという報告は、今のところは見受けられません。

他の後縦靭帯骨化症に結びつくような病気や因子を持っていた人がむち打ちになった場合には、この病気は起こり得る可能性は高いです。。

しかし、後縦靭帯骨化症とむち打ちが直結するようなことは、統計的には今のところないようです。

後縦靭帯骨化症の人が交通事故に遭ったら?

後縦靭帯骨化症を患っている人には、特徴的な症状があります。それは、首を反らしたとき、つまり座ったり立っている状態で顔が天井を見るような姿勢をした場合に現れます。

後縦靭帯が骨のように硬くまた厚みを増すと、脊髄が通る管が狭くなります。その状態で首を反らすと、更に脊髄が通る管が狭くなります。そうすると脊髄が圧迫されて、腕や手のしびれや痛みが出たり、脚にしびれが広がるような感覚が出ることがあります。

それほど脊髄が通る管を狭くしてしまうのがこの病気です。その病気を患っている人が交通事故に遭ったらどうなるのでしょうか?

首を急激に反らす、むち打ちを起こすような動きを強いられると、脊髄が急に圧迫され脊髄損傷を起こすことが多いのです。特に、頚髄損傷を起こすとその後の体の状態は介助を要する場合が多くなります。

腕や脚が全く動かない、もしくは腕の筋肉の一部を除いて全く動かず、手すらも動かすことができない「四肢麻痺(ししまひ)」になるケースが、少なくないのです。歩くことが難しくなるので、車いすが脚がわりになります。

首の背骨は7つの骨で構成されていて、骨と骨との間から腕へ伸びる神経が出ています。 首の背骨の内部にある脊髄は頚髄(けいずい)と呼ばれ、第1~第8まであります。

第2頚髄より上の部分では、呼吸に関係する筋肉が麻痺を起こすので、適切な処置と人工呼吸が行われない限り死に至ります。

第4頚髄で傷害が起こると、首周辺以外は全く動かすことができず、両腕も動かすことができなくなります。第6頚髄で傷害が起こると、肩甲骨や肩を動かす筋肉の一部や、肘を曲げる筋肉は動かすことができますが、それ以外は困難となります。

第6頚髄での損傷の場合は、自力で肘を伸ばすことはできません。そのため、肘を伸ばし切って曲がらないようにロックさせ、肩甲骨の動きで腕を動かすことができます。

その場合、例えばベッドや床の上で脚を前に伸ばして座り、両手を床について肩甲骨を下へ引き下ろすように動かすと、お尻を浮かせることができます。

これを使って、お尻を前後に動かして座っている位置を変えたり、ベッドと車いすの間で乗り換えをするなどの動きができます。つまり、ベッド上では腕が脚がわりになるのです。

後縦靭帯骨化症の治療法

後縦靭帯骨化症の治療は、大きく分けて「保存療法」と「手術療法」の2種類があります。

保存療法は骨や神経を手術などで直接治療することはせずに、他の治療法で状態を温存しながら症状の緩和を目的とする治療法です。

手術療法は、手術で痛みの原因となっている部分を治療することで、辛い症状を緩和します。

手術療法をしても、後縦靭帯骨化症が根本から治すことはできないので、症状があまりにひどくなっているわけでなければ、保存療法で治療を行うことも多いです。

保存療法

保存療法には、「薬物療法」と「運動療法」、「物理療法」の3つの治療法があります。

ここでそれぞれの治療法について解説していきます。

薬物療法

薬物療法では、痛みやこりなどの辛い症状を緩和することを目的としています。

処方される薬は実にさまざまですが、例えば「非ステロイド系消炎鎮痛剤」は、首や肩の痛みやこり、手足の痛みなどを緩和するために用います。

ステロイド剤には飲み薬と注射がありますが、これらを用いることで後縦靭帯骨化症特有のむくみを抑え、神経が傷つくことを防ぐことができます。

後縦靭帯骨化症によって靭帯が骨化することにより脊椎の動きが悪くなった場合には、筋弛緩剤や抗うつ剤を処方し、筋肉の緊張を和らげます。

そのほか、血流をよくするためのビタミンB12 をはじめとする各種ビタミン剤や、骨粗鬆症を防ぐ効果があるとされる「ビスフォスフォネート製剤」を用いることもあります。

運動療法

運動療法は、手術後の後遺症などによる麻痺や、動きにくくなった筋肉を動かすために行われるリハビリ治療です。

筋肉量を増やしたり、血流をよくすることを目的としています。

正しい方法で行わないと症状が悪化してしまうことがあるため、医師や理学療法士の指導のもとで行うことが重要です。

物理療法

特殊な装置を使用して首を固定したり、引っ張ることで脊椎を安定させて症状の悪化を防ぐ治療法です。

また、筋肉を温める「温熱療法」を行うこともあり、これは固くなった筋肉を柔らかくしたり、血流をよくする効果が期待できます。

手術療法

症状が非常にひどい場合を除いては、先に解説した保存療法で対処することが多いですが、保存的治療で十分な効果が得られなかった場合や、さらに症状が進行してしまった場合には、手術を行って症状を改善します。

手術によって後縦靭帯骨化症が完全に治せるということではありません。

そのほか、手足がしびれる、麻痺によって手指を使った細かい動きができないといった場合、足がつまずきやすく転びやすいなどの症状がある場合にも、手術を行います。後縦靭帯骨化症の手術では、首の前を切開する「前方除圧固定術」と、首の後ろを切開する「椎弓切除術」、「脊柱管拡大術」といった方法があります。

どの方法であっても、骨化した靭帯を削ったり、脊椎の骨を削ることで脊柱管を広げ、神経の圧迫を改善することが目的です。

どの手術にもメリットとデメリットがありますので、どの方法を選択するかは、そのときの症状や脊椎や靭帯の状態など、いろいろな要素を考慮した上で医師が判断し、決定します。

「前方除圧固定術」、「椎弓切除術」、「脊柱管拡大術」と、どの方法を採用した場合でも、症状は4割から6割程度の改善が見込めるといわれています。

ただし、手術の合併症が起こる可能性があり、手足の麻痺が悪化したり、脊髄を包んでいる膜が破れ、中の髄液が漏れてしまう髄液漏(ずいえきろう)という症状や、血腫ができてしまう、傷の治りが悪いなどといった症状がまれに起こる場合があります。

合併症が発生する可能性は数%から10%ほどだといわれています。

【参考URL】

参考[1]:難病とは
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha/pdf/06e_3_2.pdf

参考[2]:難病情報センター 後縦靭帯骨化症(OPLL)(指定難病69)
http://www.nanbyou.or.jp/entry/98

参考[3]:PTジャーナルVol.34,No.4「難病・4 後縦靭帯骨化症」
http://medicalfinder.jp/doi/abs/10.11477/mf.1551105053

 
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