後縦靱帯骨化症を知るためのハンドブック
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後縦靱帯骨化症の症状としての「しびれ」

後縦靱帯骨化症は頸髄の圧迫により「しびれ」が症状として現れることがあります。人によっては、「しびれ」を肩こりと勘違いする程度の軽度な方もいらっしゃいますが、黄色靭帯骨化症や前縦靭帯骨化症の併発などの要因で「しびれ」が強く出る場合もありえます。 このページでは、後縦靱帯骨化症の代表的な症状の一つ、「しびれ」について詳しく見ていきましょう。

「しびれ」が出る身体の場所

後縦靱帯骨化症で「しびれ」が出る場所は、主に手足です。症状が出始めた初期段階では、手足の指先に「しびれ」を感じる程度。ところが症状の進行に伴い、「しびれ」の範囲が広がり、腕や足の痛みも感じるようになります。 後縦靱帯骨化症は、頚椎の骨化で脊髄が圧迫される病気です。

同時に胸椎でもこの病気が発症すると、足の「しびれ」や脱力感を感じるようになるそうです。 ちなみに、後縦靱帯骨化症の患者のうち、最初に出はじめた症状として最も多かいのが「首・肩の症状」。ついで「手・腕のしびれや痛み」が全体の4割を占めています。大多数の方が、まずは上半身のしびれや痛みなどの異変に気付き、後縦靱帯骨化症であることが発覚する場合が多いようですね。

「しびれ」の程度について

後縦靱帯骨化症による「しびれ」は、年単位で症状が軽くなったり悪くなったりを繰り返します。進行スピードはゆっくりで、「しびれ」を感じても疲れなどによるものと勘違いしてそのまま放置してしまうケースもありえます。 ただし、後縦靱帯骨化症によるしびれでも、足など下半身のしびれが出た場合には、症状が進んだ状態と考えられますので、整形外科などの専門医の診察をできるだけ早めに受けましょう。

病院を受診するタイミングは?

手足の「しびれ」という症状は、後縦靱帯骨化症以外の病気でも見られる症状です。そのため、単純に手足がしびれるからといって後縦靱帯骨化症であると断言することはできません。 ただし、手や腕の「しびれ」は、後縦靱帯骨化症の早期診断にもつながる症状。

おかしいな、と思ったらすぐに神経内科、整形外科の専門医を受診してみましょう。また、足や下半身に「しびれ」が見られるケースでは、後縦靱帯骨化症であろうとなかろうと、何らかの病気の症状が進行していることが疑われます。こちらも、すぐ専門医に相談しましょう。

「しびれ」の治療・改善法とは?

後縦靱帯骨化症で「しびれ」がある場合、治療方法にはどんなものがあるのでしょうか?

「しびれ」改善のための薬物療法

比較的症状が軽度な場合などに取られることの多い保存療法の中でも、薬物療法は多くの患者さんで選択される治療法です。

「しびれ」改善のための薬としては、ステロイド剤、抗うつ剤、筋弛緩剤、ビタミン薬などが用いられます。 ステロイド剤は、飲み薬と注射があり、骨化した靭帯に圧迫されてむくんでしまった神経からむくみを取り除き、神経を守るための薬です。また、抗うつ剤や筋弛緩剤は、靭帯の骨化によって脊椎が動かしにくくない、負担がかかった首や肩の緊張を和らげるための薬です。 各種ビタミン剤は、ビタミンB12は末梢神経の障害を改善するために用いられ、ビタミンEは血液の流れを改善するために用いられます。

ただし、薬物療法の効果は一定ではありません。必ずしも「しびれ」がなくなるわけではなく、長期的な薬の服用により副作用が出ることもありますので、経過を医師に伝えて、適切な服用ができるように心がけましょう。

「しびれ」改善のための理学療法

後縦靱帯骨化症による「しびれ」は、骨化することで脊髄神経が圧迫されるのに加えて、頚椎を動かすことで悪化することがあります。

そのため、しびれがあるからといって、運動療法などを行うと、かえって症状が悪化する場合も。 理学療法として、頚椎部分を動かさないようにするための装具療法、頚椎牽引療法、ハローベストなどの固定法が用いられることがあります。

「しびれ」の予防法

残念ながら、後縦靱帯骨化症による「しびれ」は、症状を予防することができません。症状が出た場合に対処療法的にこれまでご紹介してきたような治療が取られますが、結果には個人差があります。 後縦靱帯骨化症の早期発見のきっかけにもなり得る「しびれ」。「しびれ」を感じたら、医師にその旨を伝え、判断を仰ぐといいでしょう。

参考:『患者さんのための頚椎後縦靱帯骨化症ガイドブック 診療ガイドラインに基づいて』2007
http://minds.jcqhc.or.jp/n/pub/1/pub0033/G0000476/0001

 
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