後縦靱帯骨化症を知るためのハンドブック
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後縦靭帯骨化症の予防法

日本人に多い難病のひとつが後縦靭帯骨化症です。その発生率は、1.5%~3.2%程度と考えられています。他国の方に比べて発症するリスクが高い(台湾0.2%~0.4%・中国1.74%・イタリア1.53%)ので、積極的に予防したいと考えている方がいるはずです。後縦靭帯骨化症は、どのように予防すればよいのでしょうか。

後縦靭帯骨化症ってどんな病気?

後縦靭帯骨化症を予防したいと考えている方は、その概要を押さえておきましょう。後縦靭帯骨化症は、背骨の中の脊柱管(脊柱の椎孔が連なってできた空間)内部を走る後縦靭帯が骨のように固くなり肥厚する病気です。骨化・肥厚した後縦靭帯が、同じ脊柱管を走る脊髄、あるいは神経根を圧迫することで様々な症状が現れます。ただし、後縦靭帯の骨化が認められる方すべてで自覚できる症状が現れるわけではありません。後縦靭帯骨化症の症状は、骨化・肥厚した後縦靭帯が脊髄や神経根を圧迫することで引き起こされるからです。圧迫の程度が軽ければ、後縦靭帯が骨化していても自覚できる症状は現われません。脊髄・神経根の圧迫により自覚症状が現れているケースを後縦靭帯骨化症というので、この点は後縦靭帯骨化症を考えるうえで重要なポイントになります。

後縦靭帯骨化症の原因は不明

後縦靭帯骨化症の原因は、後縦靭帯が骨化・肥厚することです。この点は確かですが、なぜ後縦靭帯が骨化・肥厚するかは分かっていません。後縦靭帯骨化症の原因のひとつとされているのが遺伝です。遺伝との関連は次のように考えられています。

兄弟で後縦靭帯骨化症を発症する確率は30%程度、血縁者に後縦靭帯骨化症の患者さんがいる場合の発症率は23%程度とされています。家系調査では、後縦靭帯に限らず靭帯の骨化を生じる確率の高い家系が見つかっています。しかしながら、血縁者全員が後縦靭帯骨化を発症するわけではなく、遺伝のほかにも様々な要因がからんでいるものと考えられています。

出典:『後縦靭帯骨化症とは』 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/koujujintai-kotsukashou/about.html

遺伝以外の要因として挙げられているのが、ホルモンやカルシウム代謝の影響、糖尿病、あるいは肥満の影響などです。はっきりとした原因は分かっていませんが、これらの要因などが複雑に絡み合い後縦靭帯骨化症は引き起こされると考えられています。

後縦靭帯骨化症の予防法

はっきりした原因が分かっていないので、後縦靭帯骨化症を完全に予防することは出来ません(別のページでも記載した通りです)。ただし、予防のため参考にしたい点が全くないわけではありません。

後縦靭帯骨化症は、生活習慣、生活習慣病と深い関連を持っている可能性が指摘されています。例えば、肥満の方に後縦靭帯骨化が多いこと、糖尿病の方に高い割合(15%前後)で後縦靭帯骨化が見られたとする報告などがあります。あるいは、十分な睡眠を確保している方は頸椎の後縦靭帯骨化症の発症率が低いとする報告もあります。

生活習慣と後縦靭帯骨化症がどのようにかかわっているかは分かっていませんが、このような傾向が示唆されているので後縦靭帯骨化症が心配な方は肥満や糖尿病を予防する、十分な睡眠時間を確保するなどに取り組むとよいかもしれません[1]。

後縦靭帯骨化症は症状の悪化を予防することが重要

冒頭で説明した通り、後縦靭帯が骨化したからといってすべての方で自覚できる症状が現れるわけではありません。また、自覚できる症状には個人差があります。以上の特徴から、後縦靭帯骨化症は症状の悪化を予防することが重要な病気といえます。症状の悪化を防ぐため、次の点などに気を付けるべきと考えられています。

頸椎後縦靭帯骨化症の悪化を予防するため重要になるのが、首を後ろに反らせすぎないことです。肩こりが気になる、首の痛みが気になる、空を見上げたいなどの理由で、首を後ろに反らせすぎると、自覚症状が出現したり、自覚症状が悪化することなどがあります。後縦靭帯骨化症を予防したい方は、首を後ろに反らせすぎないように気をつけましょう。

転倒や転落などにも注意が必要です。仕事や運動、遊びなどで転倒したことをきっかけに、自覚症状が現れる、自覚症状が悪化することなどがあります。場合によっては、症状が大きく悪化する恐れもあります。転倒はお酒を飲んだ時などに起こりやすいとされています。後縦靭帯骨化症が心配な方は十分注意しましょう。

後縦靭帯骨化症の発生を予防したい方は、運動不足にも注意してください(後縦靭帯骨化症と診断された方は運動方法や生活の過ごし方などを医師と相談してください)。運動不足が続くと肥満や糖尿病のリスクが高まります。これらは、後縦靭帯骨化症とかかわりが疑われる要因です。後縦靭帯の骨化が確認されておらず、後縦靭帯骨化症を予防したい方は、運動不足にも気を付ける必要があります[2]。

後縦靱帯骨化症を予防するために日常生活で気をつけたいこと

肥満を防ぐ

先にもご紹介していますが、後縦靱帯骨化症を発症する人は糖尿病の疾患を持っている人や、肥満の人が多い傾向があるようです。 肥満を防ぐことで、後縦靱帯骨化症の発症を抑えられる可能性があります。 肥満を防ぐには、まず食べ過ぎや飲み過ぎを防ぐのが第一です。 現代人は、栄養をしっかり摂らなければとつい食べ過ぎてしまう傾向にあり、どちらかというと栄養過多の人が多いのだそうです。

また、外食やコンビニ食など塩分過多、野菜不足など食事の栄養バランスが取れていない人も多いようなので、できるだけ自炊をして野菜中心の食生活にすることも大切です。 どうしても自炊が難しいという人は、単品のメニューではなく定食のような小鉢がいくつかついているメニューを選ぶと、野菜を食べる機会が増えます。 しかし外食は味付けが濃いものが多く、塩分や糖分の高い食事が多いので、やはりできるだけ自炊することが望ましいです。

また、適度な運動は後縦靱帯骨化症の発症を防ぐ効果が期待できると共に、肥満予防にもつながります。 肥満を始めとする人生活習慣病を予防するには、1日20分ほどのウォーキングを週3回ほど行うとよいようです。 そのほかにも、趣味として続けられるちょっとしたスポーツを楽しむのも、後縦靱帯骨化症の発症予防や肥満の予防に効果があります。

睡眠の質を高める

質のよい睡眠を取ることで、後縦靱帯骨化症の発症を予防できるといわれています。 後縦靱帯骨化症の発症以外にも、しっかり睡眠を取ることでうつ病の予防や改善など、健康によい効果が期待できますので、ぜひ意識したいですね。 質のよい睡眠を摂るには、生活にメリハリをつけることがとても重要です。 朝目覚めたらしっかり朝食を摂り、適度な運動をして心地よい疲労感を得る、充実した日中を過ごすなど、昼間に思い切り活動をして、夜は自然に眠くなることを狙います。 また、寝酒の習慣がある人は、できるだけ寝酒を控えるのが賢明です。

寝酒は寝付きをよくする効果はありますが、眠りが浅くなってしまうことがあるのでおすすめできません。 そのほか、寝る前のカフェイン摂取を控える、スマホやパソコンなどブルーライトを発するものの使用を控えるなども、質のよい睡眠を取るために意識するとよいでしょう。

おかしいなと思ったらすぐ病院へ

後縦靱帯骨化症を発症してしまっても、できるだけ早めに対処することで症状の進行を防ぐことができます。 体がいつもと違うな、と思ったら、すぐに病院で診察を受けることはとても重要です。 特に手足のしびれが生じたら、軽症でもすぐに病院で診てもらいましょう。 後縦靱帯骨化症の疑いがある場合は、できるだけ脊椎脊髄外科指導医のいる、専門の施設で診察を受けることをおすすめします。

後縦靱帯骨化症が認められたら、きちんと医師の指導を守り、定期的な通院をすることもとても大切です。 自分の判断で通院をやめてしまうことのないようにしてくださいね。

それでも発症してしまった際には症状の悪化を予防

後縦靱帯骨化症の発症は、遺伝要因も関係があるといわれていますので、日常生活に気をつけていても発症してしまう可能性は考えられます。 その際は、できるだけ症状の悪化を防ぐことが重要です。 後縦靱帯骨化症の症状の悪化を抑えるには「ビスフォスフォネート製剤」の使用が有効だという報告があるそうです。

これは、骨粗鬆症や異所性骨化などの病気に使用されている薬で、後縦靱帯骨化症の症状を改善する効果はまだはっきりと確認されていないため、使用する際は健康保険の適用外となりますが、必要に応じて使用を検討してみるのもよいと思います。

【参考URL】

参考[1]:『後縦靭帯骨化症の原因』 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/koujujintai-kotsukashou/genin.html

参考[2]:『後縦靭帯骨化症・黄色靭帯骨化症』 公益社団法人日本整形外科学会
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/opll.html

「黄色靭帯骨化症」に関してはコチラをご覧ください>>
 
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