後縦靱帯骨化症を知るためのハンドブック
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特定疾患治療研究対象疾患とは?

後縦靭帯骨化症について調べている方の中には、特定疾患治療研究対象疾患について知りたい方がいるはずです。特定疾患治療研究対象疾患とはどのような疾患なのでしょうか。また、後縦靭帯骨化症とどのような関係にあるのでしょうか。これらについて詳しく解説いたします。

特定疾患治療研究対象疾患とは

特定疾患治療研究対象疾患とは、特定疾患治療研究事業対象疾患のことです。特定疾患治療研究事業は、難病のうち特定の疾患について医療の確立と普及を図り患者の医療費負担の軽減を目指す事業でした。難病は、昭和47年に策定された厚生省の難病対策要綱で次のように定義されています。

  1. 原因不明、治療方針未確定であり、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない疾病
  2. 経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず、介護等に等しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病

特定疾患治療研究事業(医療費助成事業)の対象となった特定疾患治療研究対象疾患は全部で56疾患です。56疾患の中には、後縦靭帯骨化症・ベーチェット病・多発性硬化症・重症筋無力症・全身性エリテマトーデスなどが含まれます。特定疾患と診断された方は、所定の手続きを行い通過すれば公費負担で治療を受けることが出来ました。

参考:『特定疾患治療研究事業対象疾患一覧表(56 疾患・平成25年2月1 日現在)』 北海道伊達市
http://www.city.date.hokkaido.jp/hotnews/files/00000300/00000340/20130223123440.pdf

難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)

治療費が公費負担になることで、難病の方は安心して治療を受けられました。一方で、特定疾患治療研究事業の対象患者が増えることで、難病の医療費助成にかかる費用は増大しました(予算の確保が難しくなった)。また、特定疾患治療研究対象疾患(56疾患)以外にも患者にかかる負担の大きい疾患はたくさんあります。これらの問題を解決するため、平成27年1月に「難病の患者に対する医療等に関する法律(通称:難病法)」が施行されました。これにより、難病患者に対する医療費助成制度は大きく変わりました。

難病法が医療費助成の対象とするのは、「指定難病」と診断されて重症度分類などに照らして病状が一定程度以上と認められる場合です。指定難病は次のように定義されています。

  1. 発病の機構が明らかでなく
  2. 治療方法が確立していない
  3. 希少な疾患であって
  4. 長期の療養を必要とするもの
  5. 患者数が本邦において一定の人数(人口の約0.1%程度)に達しないこと
  6. 客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が成立していること

つまり、これまでの難病の定義に5)と6)を加えたものが指定難病とされたのです。難病法が施行されたことで、医療費の助成を受けられる疾患は56疾患から110疾患に増えました。対象疾患の数はその後も増え続け、平成29年4月1日時点で330疾患となっています。特定疾患治療研究事業により医療費助成を行っていたときよりも、多くの方が安心して治療を受けられるようになっています。また、難病の医療費助成の財源に消費税などが充てられることになり、安定的な医療費制度となりました。

参考:『2015年から始まった新たな難病対策』 難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/4141

後縦靭帯骨化症は指定難病?

ここで気になるのが、後縦靭帯骨化症が引き続き医療費助成の対象になっているかです。後縦靭帯骨化症は、医療費助成が受けられる指定難病として認められています。ちなみに、黄色靭帯骨化症も指定難病として認められています。いずれも、要件を満たし所定の手続きを行えば医療費の助成を受けられると考えられます。

参考:『平成27年1月1日施行の指定難病(新規・更新)』 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000062437.html

医療費助成の手続き

後縦靭帯骨化症と診断された方で、重症度分類等に照らして病状が一定の程度以上と認められた方は医療費助成を受けられます。重症度の分類は医師が行うので、医療費助成を受けたい方は医師に相談すると良いでしょう。医療費助成を受けるには次の手続きなどが必要になります(※症状の程度が重症度分類等で一定以上に該当しない場合でも、高額な医療を継続することが必要なケースでは医療費助成の対象になることがあります。)

〈申請手続きについて〉

①都道府県における事務手続き

  • 臨床個人票をもとに、診断基準に照らして、指定難病であることを確認
  • 病状の程度が、一定程度であることを重症度分類等に照らして確認

⇒以上2点が確認できた場合には認定

②指定難病審査会における手続き

  • 上記2点が確認できなかった場合には都道府県に設置された指定難病審査会での審査が行われます。

⇒指定難病審査会で上記2点が確認された場合には認定

⇒指定難病審査会の審査の結果、支給要件に該当しないと判断された方には、認定しない旨を通知

出典:『FAQ 代表的な質問と回答例』 難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/1383

具体的な手続きの内容は都道府県により異なります。手続きを進めたい方はお近くの保健所などで相談してください。

>> 「難病医療費助成」の詳細はコチラをご覧ください

 
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